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マンスリー上次さん 10月号

TOPICS | 17.10.01

私はビール、ウィスキーを通してお酒に興味を持ち、お酒を通して色々な新しいことに気づかされてきました。例えば一本1,000円のウィスキーから一千万円のウィスキーまである中で、4・5年前までは3万円のウィスキーでさえ「何でこんなにするのか」と信じられませんでした。しかし今は、そのウィスキーが一千万円でも、その価値を理解できるようになりました。一本100万円のウィスキーを楽しむ人達にも出会えました。そして、そのような人達は今の社会において大きな責任や役割を果たしている人達であるということも知りました。

 

いま世の中は二極化していると言われていますが、私もそう思います。私は自分が生まれて今までのことしかわかりません。その中でも、わかっているつもりでも経験・体験していないことは想像でしかありません。私の子供の頃は一人の人間がたくさんのことをこなさなければ生活できませんせした。また、機械や道具が少なく人力に頼る作業ばかりでした。だから人口の多くが現場労働者でした。そして一人当たりの生産力は今よりはるかに少なかったのです。農業も酪農も果樹も全て手作業、家を建てるのも手作業、作業員の中で頭の働く人が集団のリーダーとして作業を組み立てる役割を担ったのです。自動車1台作るのも、電気製品一つ作るのも多くの労働時間をかけてきたのだと思います。それが人工頭脳、機械化が進み、何をするのにも人手がいらなくなってきてしまいました。そのため、一つの商品が世の中に必要とされた場合、そのもの一色に染まりその企業の利益は小さな国の国家予算ほどにもなる利益を上げます。現実の営みを知らない人達が頭の中で考えシステムや物を作っていく、現場・現地を知らない人がどんどん新しい物を提供してくれます。それらの物は決してベストの物ではなくても、今より生産性が高いので使わざるをえないのです。

 

私は田舎者です。でもローカル・ローカルではいたくはありません。99%のローカル・1%のグローバルでいたいと思っています。100か0ではなくいつでもバランスが取れた考えを持てるようにしないと本当の意味でみんなが幸せな社会にならないのではないかと思うのです。世の中には頭の良い優秀と言われる人が数パーセントいて、残りは私のように平凡な人達です。私の子供の頃はほとんどの人が現場にいてそこから叩き上げられていくから下々のやっていることも経験しながらリーダーになっていきました。社長になったり、知事になったり、首相になったり。もちろんどんな時代でも特権を持った人はいたと思うのですが、今のように分業化はされていなかったでしょう。特に国のリーダーになるような人・大企業のエリートと言われる人達、例えば農水省のキャリアと言われる人達は自分で農作業をやった人はどれだけいるのでしょうか。農作業しているのを見た、視察した、試食したという人はたくさんいるでしょう。でも、3ヶ月酪農家に住み込みで経験したとか学生時代に野菜農家で一夏過ごしたという経験をお持ちの方は少ないでしょう。見るのと数ヶ月実地体験するのでは全く違います。

 

どんどん社会の中で不都合というものが生まれ育っていきます。それを優秀で現場を知らない人が直そう直そうと努力します。現場はそれを受けるしかないのです。不都合で不必要なものがどんどん押し付けられてみんなが苦しむことになってしまうのです。私たちは99:1でいいから全ての人が自分の100の中に自分の今いる世界の対象となる世界を知るべきではないでしょうか。農業であるなら自分の育てた野菜が高級料亭でどのように使われ、どのような料金で提供されているのか。山梨のフルーツが高野フルーツショップや千疋屋ではいくらで売られているのか、なぜ東京都港区に住む人達は所得が高いのか、私はいつも不思議で仕方ないのです。ほとんど生産品を作らない東京が豊かで、なぜ地方は高齢化と少子化で苦しんでいるのでしょうか。

 

今の流れがどんどん進むと本当に一部の人がシステムを考え人工頭脳の役割を果たし、そこに加われない人はみんな負け組になってしまいます。そんな社会を作らないために、優秀な頭脳をお持ちの方は暖かい知恵を働かせて、能力のある人から能力の劣る人まで世の中で必要とされて居場所のある社会の仕組みを今から考えていただきたいのです。そのためには、自分は特別な特権を持った人間であるというおごりを捨て、素敵な一生とはなんだ?!と一度立ち止まって考えることではないかと思うのです。そしてリーダーになる人ほど末端とか下働きとか社会ではあまり評価されない現場に一度身を置き考えるべきだと思います。実はその仕事は機械化され携わる人は少なくなってきていますが、社会の中でその部分が多くの生産を支えているのです。昔に比べれば一人当たりの生産量も面積あたりの生産量も格段に上がりました。しかしそのことが正しいのかはわかりません。そして国の補助金を利用して新しい農業法人が次々と生まれ、機械化されたトマトやレタスが大量生産されます。それが成功すると地元農家は厳しい状況に置かれ、逆に農業法人が厳しい状況になると大きな税金のムダ遣いです。便利さの追求で弱者が救われるような社会を考えるべきではないでしょうか。そのためには弱者は強者のことを知り、99:1の経験を学ぶべきです。1を知っているだけで思考は99:1ではなく60:40くらいの思考になります。

 

私はこれからもローカルを追求し、世界のどんな方にも感動を与えられるような「こと」「もの」作りを目指していきたいと思っています。

 

 

平成29年9月19日

萌木の村村長  舩木 上次