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マンスリー上次さん6月号

TOPICS | 19.06.01

萌木の村の山野草ガーデンの中にいると落ちつく。なぜこんなに居心地がいいのか私は不思議に思う。きっとすべてが本物の「自然」であるからではないか。50種類の野の花たちが仲良く育ち、人間のように必要以上に欲をかいたり目立とうとしたりしないのだ。そして一つ一つがとっても元気なのだ。この庭からは学ぶことばかりだ。
 
そんな中で、今年も清里フィールドバレエの準備が始まっている。30回目という歴史は本当に大きな財産だと思う。舞台、音響、照明、大道具など、30年前はすべて東京のプロ集団とシャンブルウエストの皆さんでスタートした。地元の友人の大工さんを始めとする職人さん達がお手伝いとしてサポートしてくれた。その第一世代から今新しい代に引き継がれている。私も古希を迎え、私を支え指導してくださった先輩達の多くがここ数年天国に旅立たれた。この30年で私を取り巻く環境は大きく変わった。IT、AIなど、私のようなアナログ人間は時代の漂流者になってしまいそうだ。私だけでなく、多くの日本人は先の見えない不安で、その時の風に流されているように思う。私たちは、どんな時代でも「良いこと、正しいこと」という物差しををもっているはずなのに、技術の進歩と共に社会の部品のようになってしまっている。清里はそんな中でもポール・ラッシュ先生の教えを基に、変わってはいけない価値観を物差しにしていきたいと思っている。私は清里を、皆様に安心とやすらぎと感動と夢を感じてもらえるような場所にしていきたい。
 
都会と田舎、大企業と中小企業の格差が広がっている近年、「まちづくり」はどのようにすべきか改めて考える必要がある。八ヶ岳・清里は雄大な山々、豊かな水、美しい星などの魅力がたくさんある。ずっとそこで生まれ育った人は、意外に自分の住んでいる所の良さがわからない。清里のとなりの野辺山では、ウルトラマラソンというマラソン大会をずっと続けている。出場者は宿に泊まり、野菜を買い、地域の知名度は上がる。何よりも楽しく、地域の自慢の大イベントである。そこにヒントがあるように思える。私は各種の取り組みをしている人たちの話を聞いて、ますます驚いた。こんなに多くの楽しみ方があることに驚く。そしてこれからももっともっと進化していくのだろうと思うと、この地域の可能性の大きさを改めて実感する。
 
実はこの八ヶ岳には自転車に関わる人たちが増えている。彼らは夢を持ち、この地で活動をスタートしたのだが、地元の人たちは彼らを変人・変わり者として遠巻きに見ていた。しかし、夢に向かってこつこつと前に進む姿は周りの人たちから理解され、だんだんと地域の中で根を張りだしている。なぜ自転車に関わる人達が多く住み始めたかというと、自然環境の条件が最適だったからである。清里の自然環境の良さを、彼らと組むことで広く発信することができると考えている。清里を新たな自転車競技のメッカにしたいと思っている。
 
ポール先生が「開拓とは」という生き方の種をまいてくれたわけだから、今の時代の「開拓」を楽しむべきだと思う。清里フィールドバレエも30年、これも一つの開拓であったような気がする。初めは何とかやり遂げることで精一杯だった。しかし30年やり続けると、本当にいろいろなことが見えてきた。それらの見えてきたことを次の世代に受け継ぎ、新しいチャレンジをしてもらいたい。社会が混沌としてどこに進んでいいのか、何をするべきか迷っているその人たちに、夢を追うことの喜びを感じてもらえるように、まず私たちが地域の人と共に、夢を追うことを諦めずに生きていきたいと思う。