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マンスリー上次さん 3月号

TOPICS | 18.03.01

技術の進化の早さには目を見張るものがあります。それを良い人が道具として使えば、多くの人の役にも立ちますし喜びにもなります。しかし、悪しき人が使えばそれは想像を超える凶器にもなります。

 

では、良き人と悪しき人はどのようにして分かれていくのでしょうか。生まれてきた時からどちらかに決まっているわけではないでしょう。何かの原因で別々の道を歩き始めるのだと思うのです。その人の持つ価値観と目標によって日々の判断の選択の違いが積み重なって、結果として善と悪に分かれていくのだろうと思うのです。ですから、分かれる前が大事だと考えます。五感で良い物にたくさん出会い、良い人に出会い、感動という心を動かす“こと”や“もの”に触れることが大切ではないかと思うのです。今回のオリンピックではそんな感動のシーンがいくつもありました。これらの感動は人を良い道に導いてくれるはずです。また金メダルを獲得した人たちは子供の頃に「自分もあの人みたいになりたい」と思う瞬間があったはずです。あこがれの素晴らしい人に出会ったり、テレビで見る瞬間があったはずなのです。その時から金メダルを取ることが目標になったのです。

 

前回の「マンスリー上次2月号」の私の寄稿はそれなりに反響が有ります。面白いのは県外の方々が大きな興味を示すのです。さらに海外で生活した経験のある方が多いのが特徴です。2月1日の提案は山梨県の経済や社会を活性化させることになるはずですが、それは目的ではありません。その施設があることで生まれる感動を子供たちに感じてもらい、“良き人”が育つ環境を作ることが目的なのです。

 

松下電器の松下幸之助さんや京セラの稲森和夫さんなど、実業家と呼ばれる事業をする人たちの言葉には学ぶことが多かったものです。しかし今の時代、経営者の言葉から学ぶことは少なくなりました。技術とか方法論には学ぶべき点はありますが・・・。今はスポーツ選手とか職人さん、そんな人たちの言葉に心惹かれます。心に訴えかける哲学を持っているからでしょう。哲学を持って生き様を教えてくれる人が周りに少なくなりました。江戸時代、吉田松陰のような人が何故生まれたのでしょう。きっとあの時代の社会の状況を見ていて「このままではいけない!世の中を良くする為に何かをしなければ!」と思ったのでしょう。江戸から明治の時代変遷の中で坂本龍馬や高杉晋作、伊藤博文、西郷隆盛など、次から次へと想いの強い人が生まれてきたのはどうしてでしょう。なぜ意識の高い人達が育って行ったのでしょう。現代の日本の環境の中では、ある意味技術の進化と同じで、生き方のテクニックは進歩していますが、生きる目的を失っているのではないかと思うのです。評論家はたくさんいて、様々な意見が耳に聞こえてきます。資料も書物やスマートフォンの中に溢れていて、情報は十分すぎるほど入手できる時代です。

 

しかし今の時代は五感で経験することが少なくなりました。ポール・ラッシュ先生の清里開拓時代は、私にとっては今の自分を育ててくれるのには最高の時代でした。ポール先生の理想、そこに夢を掛ける若者、原野を切り開きドラム缶風呂と裸電球の貧しい生活環境、しかし、春を迎えるたびに少しずつ良くなっていくことを実感できたのです。ポール・ラッシュ先生の時代は現状を守るのではなく、前へ前へと進む時代でした。私が求めたのではなく、それが現実なので必然的に育てられたということです。しかし今の時代は自らが強い意思を持って自分にその目標を持ち続けなければ、自分を取り巻く環境は豊かで安全で物に溢れている社会なので、周りに流されて弱い人間になっていってしまうような気がします。だから五感で感動することができ、ものを作り出すことができる2月1日の提案を、未来の若者たちに残してあげたいのです。五感で育てられないと、心の強いリーダーが生まれにくいと思うのです。世界中を見ても素敵な指導者が少ない時代です。現代という時代環境が強いリーダーを生み出しづらい状況を作っているのだと思うのは私だけでしょうか。

 

私は痛感しています。人間は地球に棲む多種多様な生命体の中のひとつであるということを。どんなにいろいろなものが進歩しようとも、いつでも人間は他の生命体によって生かされているということだけは忘れてはならないと思うのです。

 

 

平成30年3月1日
萌木の村村長 舩木上次