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萌木の村マガジン

マンスリー上次さん 2025.11月号

2025

Nov

01

社長コラム

萌木の村のガーデン作りにあたり大きな役割を果たしたのが、地元の畑から運んだ石で積み上げた石積みの作業。その中心になったのが私の高校時代の友人・輿水さんです。2年前に病気になり、ほぼ全体の石積みも完成したこともあり、一旦、12年に及ぶ石積み作業は終了しました。しかし、この度ROCK南の喫煙所の移動・改修作業が発生しました。病気と闘っている親方・輿水章一さんが石積み作業をしてくれることになりました。76歳の私、75歳の章一さん、ひとつ学年下の75歳浅川さん、3人の年齢の合計は226歳、10月に久々の石積み作業をしました。

身体的ハンデは辛いものです。若い時と違い体力も腕力も衰えていますが、なんとかやり遂げました。20トン以上の石を積み上げました。きっと100年後200年後にも残っているでしょう。そんなことを考えると大きなやりがいを感じます。石積みをしている日々は朝起きるとワクワクしました。このワクワク感が開拓時代の先人たちのやりがいだったのかもしれません。

これから清里は木々が落葉して森は冬を迎えます。水をあげなくなった木を使い私たちは森のトナカイ作りをします。10月のカントリーフェスタのワークショップ用にトナカイの部材を70体以上作りました。私は思いました。「なんで作業することがこんなに楽しいのに、みんな辞めてしまうのだろう?農業だって職人の世界だって同じ、物を作り出すことってなんて楽しいんだろう」。

私の子供の頃、近所のおばちゃんがトウモロコシの粉で素朴な焼き菓子を作ってくれました。ほんのり甘くて10時の小休憩でいただくこのおやつは今の時代で考えると粗末なお菓子ですが、当時の生活レベルにおいてはとっても嬉しい心を満たされるおいしいおやつでした。ちょっと行ってコンビニで買ってくるお茶タイムの方がお金もかかっていて便利なのに。私の子供の頃とは全く様相が違います。時代は進んでいるのでしょうか?

この1ヶ月、石積みとイベント用のトナカイ作りをして感じたことは「我々は時代とともに進歩したと思っているが、経済性と利便性を追求した結果、実は大きな見えない“心の豊かさ”を失ってしまっている」ということです。

合計年齢226歳の私たちは、本当に充実した1ヶ月を過ごしました。私たち3人は生きている限り、会うたびにこの思い出話をするでしょう。人生は思い出作りと未来に対しての恩返し!

令和7年11月1日

萌木の村村長

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