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萌木の村マガジン

マンスリー上次さん 2026.3月号

2026

Mar

01

社長コラム

最近、八ヶ岳南麓地域を大きな規模で再開発する動きが出ていて、私はいろいろなところに顔を出すので、関連した情報や様々な意見が入ってきます。開拓時代からの歴史があるこの地域に76年間暮らす私にも反省すべき過去があり、同じ過ちをしてはならないという気持ちと、この地の特性を生かした自慢できる発展をして欲しいという強い思い入れがあります。私の思いを少し述べたいと思います。

先ず、この地に住む我々はこの地のことをもっと知ることが大事だと思います。特にリーダーになる人は、“虫の目”ではなく“鳥の目”で、いや、“宇宙からの視点”で見るべきなのかもしれません。

この地を開拓するにあたって理想的な形は

・この地で「こういうことをしたい」という素敵な夢を描ける人がいて、

・その夢を現実的な企画書に落とし込み、デザインまで起こせるサポーターが

 いて、

・そのデザインに基づいて忠実に作業ができる人がいる。

この三者がいて初めて実現できることだと思います。

私はこの八ヶ岳南麓というところは特別な所だと思っています。それはポール・ラッシュ先生がこの地を選んだときの一言、また、世界80数カ所を訪問してきた元大蔵省アメリカ公使・副島有年(そえじまありとし)さんが言った言葉、「この地の遠景の美しさは世界一ですよ」とお二人同じことを言っています。しかしそのことを知らない我々が乱開発し近景は醜くなり、折角の美しい遠景は台無しになっています。

私はオルゴール収集を通してヨーロッパ、アメリカ等50回を超える海外旅行をしてきました。その経験から先人おふたりがおっしゃったことがここにきてようやく理解できるようになりました。また、ここ十数年のガーデン作りを通して自然の豊かさも自覚することになりました。木々の種類の多さ、山野草の種類の多さ、逆に私が子供の頃咲き誇っていた山野草が絶滅の危機に瀕しているという現実、地質の差による温泉の水質の違い、縄文土器が見つかるこの土地はその時代から豊かな地であったこと、太平洋戦争の前後にこの地を開拓したポール・ラッシュ先生や丹波山村・小菅村から八ヶ岳地区に入植した開拓団を支えた安池興男さんなど先人たちの生き様や歴史、そして現在日本を取り巻く自然環境の変化と天災の問題、安全な食を手に入れられるのか?!輸入食品における農薬基準の低さなど食の問題意識も高まっています。76年間生きてきた経験といろいろな方々から教わった事実を複合的に考えて、断言はできませんが、なんとなく肌感覚ですがこの地の役割が見えてきました。

そして人間としての宿命

現代のマネー資本主義の中、弱肉強食になっています。社会不安それらの問題を語れる場が求められ、その場が世界の中で必要とされています。ダボス会議に匹敵するアジア版八ヶ岳会議の場にするためにはトータルビジョンを描ける人が必要です。その人が、地域の魅力を理解し最終目標を考え何が必要なのか何を足したら最大の魅力になるのか、プランを立てる、そのことによりまちづくりが第一歩を踏み出すと思うのです。今「格差社会」と言われていますが、経済的な格差だけでなく、知識の格差、経験の格差、感性(センス)の格差などあらゆる格差のために、相互理解ができない時代になっていると思います。だからこそ役割分担してそれぞれが自分の役割をまっとうして作品を作るときだと思います。自分の役割を自覚することが大切です。自分を知ることができれば他者を理解することもできるはずです。

先ず、①ビジョンがあること、②場所・空間があること、③資金があること

④時間があること、⑤人がいること(それに没頭できる人、知識のある人、経験がある人、熱量がある人、人間力がある人)

これらがあれば大抵のことはできます。人間はピラミッドだって作ってきたのです、不可能はありません。

日本の中で参考になる地域開発は・・・

・Benesse Art Site Naoshim

・伊勢のおかげ横丁

・六本木ヒルズの開発

・小布施のまちづくり

・大分県由布院温泉のまちづくり

・大分県大山町農協の村おこし

・熊本県黒川温泉のまちづくり

・川越 小江戸まちづくり

など

清里には2人の特別な技の持ち主がいます。1人は脇田直紀さん、世界一のオルガンビルダーです。もう1人は八田高明さん。日本でナンバーワンのステンドグラス作家です。私は脇田さんに手回しオルガンを作ってもらったりオルゴールの修理をしてもらっています。八田さんには建物の一部にステンドグラスをはめこんでもらっています。しかし、お二人の仕事にもっと付加価値をつけて経済的に大きな見返りを得る仕組みと取り組みをしている人がいます。宮崎駿さんのジブリミュージアムです。脇田さんは愛知県のジブリパークの「耳をすませば」のからくり時計を作りました。八田さんご夫妻のステンドグラスは建物の各部屋に使われるだけではなく、ジブリミュージアムのギフト商品としても採用されて経済的に循環する仕組みができ上がっていて継続する力を生み出しています。この地域にはお二人以外にも特別な技術や能力を持つ人がもっといます。その人たちをどう活かし、この八ヶ岳らしい文化をつくるかが問われています。それらのことから学ぶと最初に全体像を描ける人の存在が重要だということがわかります。さもなければ今までと同じ乱開発が繰り返されることになってしまいます。全体像を描ける人が現れる環境と人づくりが必要な時だと思うのです。

令和8年3月1日
萌木の村村長

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