Magazine
萌木の村マガジン

新年あけましておめでとうございます。
私は年末の12月26日〜27日にNHKの「ラジオ深夜便」に、アルピニストの野口健さんと共に出演しました。その中で話そうと思っていたことがあったのですが、彼の冒険家の人生譚が面白くて話しそびれてしまいました。
それはどういうことかというと12月の清里は寒い日々が続きます。この時期私は間伐材を使って木製トナカイを作っています。電動の丸ノコを使いカットするのですが、今まで経験したことのない感触を受けたのです。今までは当然ですが“木を切る“感覚だったのですが、その寒い時は“氷を切る“感覚だったのです。その日は朝から氷点下8度くらいあったと思います。日中でも摂氏になるかならないかくらいでした。缶ジュースは凍ったまま日中でも溶けません。そのため木の中に含まれる水分が凍ったままで何か不思議な感覚なのです。
30年以上、毎年この時期にこの作業を繰り返している中で、初めて味わった感覚だったのです。そのことにいたく感動したのです。新しい発見をしてワクワクしたのです。人間はそれまで常識だと思っていたことが違っていたとき、とっても新鮮でドキドキするものです。“自分だけが知っている”と思うと何か嬉しくなってしまいました。
しかし、野口さんのお話はそれを遥かに上回る興味を抱かせるお話の連続でした。
7大陸最高峰登頂世界最年少記録を25歳で達成し、その後エベレストや富士山などの清掃活動をしてきたことが脚光を浴びていますが、偉業の陰には小さな危険、小さな試練の連続があり、それらを乗り越え大きな危険に耐えられる力になってきたという話。ヒマラヤの5,000m以上の高地に行くと、香りとか匂いがないという話。匂いとは生き物が放つものであって、生き物がいない高地では匂いもなくなるんだそうです。私たちの周りは生き物だらけです、微生物も植物も動物も匂いを持っているようです。私たちはそれが当たり前になっていますが、登山家の人たちは山の上に登っていくと匂いに敏感になるそうです。下山してくると異様に匂いに敏感になるのだそうです。経験した人でなければ語れない話ですね。自然の大切さを改めて知らされました。また、古民家を手に入れお住まいだそうですが、冬は寒く、暖房もあまり効かない寒い家だそうです。しかし、そこから手に入れる見えない宝物があるのだそうです。多分、冒険家でなくてはわからない価値観の中で、寒いが故に味わえる豊かさを知っているのだろうと思いました。
私は恵まれた今の世の中で、私たちが失ったものは感じる力だと思うのです。感じなければ次の行動には移れません。私も、そして皆さんも、今年は感じる力をもう一度取り戻すべく意識して挑戦しましょう。自分の価値観が変わることが成長です。そして楽しいことです。もっともっと野口さんの話を聞きたいと思った出会いでした。私も新たな発見をするために挑戦し続ける年の初めにしたいと思います。


令和8年元旦
萌木の村村長
-02-1.png)